2022/01/29 21:12

(awaiya books 中にいる人〰︎のささやかなことば //ときどき書きます)



太陽がさんさんとふる

春の京都の 中ぐらいの 公園。


すべり台とか ブランコとか

どんぐりが落ちてきそうな大きな木とかがある

その公園の奥に 小さいけれど 心地のよさそうな小屋があります。


おしらせの紙では、ブランコに乗っていた

子どもの腕では抱えきれないくらいの大きい絵が

今日は、小屋の入口で しずかに目を閉じ光っているみたいにして、待っている。



わたしは、おそらくカフェのその場所で、カフェのメニューとしては珍しそうな わらび餅と台湾茶を注文してから、

かよう風のように光が届く小屋の壁で、ひとやすみするみたいに ならんでいる絵を ゆっくりと眺める。


やわらかな 水と氷のあいだみたいな 光の束糸が 織り上げられたような絵画たち。

大きいのも、小さいのも、みんな みんな 静かに目を閉じて、光っている。ように見える。


絵を見るときにいつもやる、「この中で一つだけ持って帰れるとしたらどれ?ゲーム」をしながら、近づいたり離れたりを 満足するまで繰り返す。



それから、小箱ふたつ。

に、収められた大量の(おそらく1000枚くらいある)ポストカードサイズのドローイングを見る。


おどろくほどたくさんのそれを レコードをディグるみたいにして、するすると 端から端へ指を動かす。

気になったものは引き抜き、引き抜きして、なんと練りたてのわらび餅をいただきながら、隅から隅まで、時折台湾茶を啜りながら、するすると見て、引き抜き、同じように見えて同じではないそれらから、やっと一枚選びぬいて、一息ついたところで、小箱が置いてあった机の端に、「サニー・レニー」と題打たれた紙の束を見つける。



日記の断片をひろいあつめたような ちいさな言葉が、透ける紙に印刷されて、メモ帳みたいに束ねられているそれを読む。読んでいる時間ごと 言葉にできない あの心地 になる。


それは、ここへたどり着くまでの公園の光。今、外から聞こえる子どもたちの声。注文を受ける店主さんのやわらかく心地よい動作と、テーブルの上の手作りの本。やわらかなまなざし。キャンバスの色、光。葉書の裏に小さく書かれた日付、すこし癖のある筆跡。自分自身をあやすような 独り言の言葉。紙のめくれ。サニー・レニー。

それらが一瞬のうちに光の束になってしずかなやさしい水へと注ぎ込み、わたしのからだの中をひたひたにしながら通っていく。


思わず、ここにあるものの中でこの紙の束がいちばんほしいなあ、と思うくらいのあの心地は、たしかに awaiya books が あわい と呼んでいるあれでした。



というのが、今回 awaiya booksで個展をして下さる 高野いくのさん(の作品)との出会いで、(実際にはまだご対面に至っていない、!)

未練たらたらで書き残したわたしの「あの紙の束がほしいです」、それに対して、高野さんがくださった丁寧なひとひらのお返事、

それらがふくらんで、ふくらんで、今回の展示「夜、かいた手紙」へと繋がりました。



あの時見た 絵画と ドローイング、そして言葉が、「夜が続いているような場所」と高野さんがおっしゃってくださった このawaiya books で、どんなふうにひらいてゆくのだろう。


しずかに うきうき わくわくしています。



会期は 立春すぎて、寒さの中に春をみるような 2/5()から13()

三連休があるおかげで、ふだんおやすみの金曜日もオープンすることになり、会期中は無休です。

高野さんが在店くださる日も4日ほどあり、なんだかぜいたく、特別なかんじ。


少し早い春をよろこぶ いいおでかけに お立ち寄りいただけましたら幸いです。




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高野いくの

「夜、かいた手紙」


◯会期:

202225()213()

会期中無休


◯場所:awaiya books (awai NOMA)

JR大阪駅から一駅のJR塚本駅 下車徒歩3


◯作家在店日

2/5()6()11()13(

各日 お昼すぎから